「……」
「……」
いかんッ。
こんなに寒いのに
額から嫌な汗が
噴き出してきた。
シンスケといっしょに
公園を走り過ぎるだけで
全ては
解決するハズだったのに。
太極拳のみなさまのお姿が
見当たらないとゆ〜
不測の事態。
まさかシンスケの口から
セイに告げ口
されるであろう可能性など
想像だにしていなくって。
「……」
今、私はひとつの選択を
強いられている。
見た目もココロも
オトメなテツオさんのコト
どこまで
話してよいのやら。
「…シンスケってさ
オンナの姿をした
オトメなオトコのヒトって
どう思う?」
「え?」
私の投げ掛けた
暴投気味の質問に
シンスケの顔が
マジになった。
「あはッ!
ううんッ、何でもないッ」
シンスケのその顔を見れば
あらためて答えを
聴く必要などなく…。
「何だよ。
お前、俺のコト
からかってるのか?」
めっそうも
ありませんッッ!!!!
「何か怪しいな」
「怪しいだなんてッ!
やだなあッ」
「……」
「……」
単純なシンスケの
アタマの中に
どんな設定が構築されて
いるのだろうか。
この沈黙が恐ろしい。
「あ、ほらッ
カラダ冷えちゃうから
走ろうよ、ねッ!?」
私はその場を
誤魔化すように
公園の石畳を掛け出した。