「おいッ!

オンナの姿をした
オトメなオトコって
何の話だよ!」


シンスケのデッカイ声が
私の背中を追い掛けてくる。


「…ここは取りあえず
シンスケを振り切ってッ」

言い訳は
後でゆっくりと考えよう。


逃げるが勝ちッ!


走る速度をあげた瞬間ッ

バロロロロ!

物凄い爆音とともに

「いたいた!
トーコちゃんッ!」

そのヒトは私の目の前に
颯爽と現れた。


「……」

…何もこんなタイミングで
現れなくても。

自分の運の悪さを呪う。


「やっぱり間違って
こっちの公園に
きちゃってたのね〜」


公園の外

ピンク色の
スクーターに跨ったまま

白いジャージに
白ヘルメットのテツオさんが

私がメールに添付していた
時計を指さしている。


「こっちの公園じゃ
ないのよ〜。

このビルの裏ッ側!」


「……」

どこか60’Sで
ロックなシルエットなのに

何故だかピンクな外装に
中はパールホワイトとゆ〜

どこまでもロマンティックな
お姫様カラーのスクーター。


近くで見ると
シートのキルティングに
キラキラと光る
高級クリスタル。

足元の毛足の長い
白い敷物は何でしょう。