「航空?
ダブル…?」


…どうしてテツオさんは
聞き取りの
難しいコトバばかり
使うのか。

難しいコトを
誰にでもわかるように
かみ砕いて
やさしく伝えるのが

本当の賢人だと
私は強く思いますッ。


「医師免許と歯科医師免許を
持ってるなんて

いったい
年はいくつなんですか!」


シンスケが
驚くのも無理はない。


テツオさんは
ねずみ〜らんどの先生と
同級生だから

きっとウチのパパ達と
同じ世代であるのは
確実なんだけど

美容整形を重ね重ねて

20代。

せいぜい行ってても
30そこそこくらいにしか
見えないよね。


「女性に年なんて
訊くもんじゃないわよ?♪」

うふふっふ、って

女医にあるまじき
真っピンクのツメが

汚れを知らぬ
シンスケの頬に触れた。


「テツオさんッ、ほらッ!

太極拳、急がなくて
いいんですかッ」


「テツオさん?」


シンスケの顔が
マジになって

私は自分の失言に
気がついた。


…しまった!

ついッ。