ワケもわからないまま

見よう見まねで
周りにいるヒトと
同じ動きをやってみる。


「……」

ココにいるみんなは
誰を手本にして
動いているのか。


誰ひとり
動きに迷っていたり
遅れている者もなく…。


「何だか
汗が噴き出してきたッ」


ヒトのやっている動きを
自分のカラダで再現するのは

部活の新体操で
慣れているけれど

如何せんッ

このゆっくリズムは
何なんだろうッ。


動きのどこにも
区切りがなくッ。


「…イライラするッ」


新体操でもダンスでも
ラジオ体操でも拳法でも

普通は
ビシッとボーズを決める
ポイントがあるモノだがッ。


「……」

この間延びした時間。


だらだらと
漫然とカラダを
動かし続けるのって

どうも性に合わないぞッ。


しかもッ

たくさん
若い女性の参加者のいる中で

よりにもよって

まんまるなオバサン達の間に
挟まれるような位置に
私は入ってしまったのかッ。


おそらくかなりの
上級者達なんだろう。


真剣な眼差し。


自分の世界に入り込み
手足の先にまで
しっかりと気を配っていて。


ただ手足が短いのが
あまりにも残念すぎだった。


…果たして私は

最後まで
この沈黙と空気に
耐えられるのかッ。


不安でいっぱいだったけど

「……」

身も切るような寒さの中

気がつけば
自分のカラダから
汗が噴き出し始めていた。