ドオリュリュリュオオオオ。
聞いたコトもないような
爆音と私を残し
テツオさんは
走り去っていく…。
『ホ〜ホケキョ』
この状況を面白がるように
季節外れの
のどかなウグイスの鳴き声が
あちこちから
一斉に聴こえてきて。
「7時を知らせる時計の音」
「え」
その声に振り向くと
さっきの
アジアンビューティーが
「タオル
落としていったでしょ」
テツオさんの
ピンクのタオルを
差し出してきたのは
いいけれど
「!」
私はその顔を見て
思わず我が目を疑った。
「ヒッヒゲがッ
ヒゲが半分取れ掛かって
いますけれどッ」
「あ、ヤバいッ」
アジアンビューティーは
取れ掛っていたヒゲを
慌てて擦りつけッ
「お姉さんや
他のお客さんには
ナイショにしててね」
私のアタマを
馴れ馴れしく
クシャクシャにして
笑いながら去っていく。
「ひえええええええ」
あのヒゲって
つけヒゲだったんだあ。
ああ、びっくりッ。
しかも
「他のヒトにも
ナイショなんて…」
「ふたりだけの
秘密、ってか?」
「そう、ふたりだけの…」
え。
「朝も早くから
俺に内緒で逢引きとは
いい度胸だな」
「セイッ!!?」
月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ
レクイエム#005
≪〜完〜≫
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