コンピューターに関しては
賢いセイも一目を置く
セイの先輩。
「こんなに朝早くから?」
「使わせて貰ってる
スーパーコンピューターの
サーバーが比較的空いている
時間帯なんでね」
「スーパー…」
「ああ。言っておくが
サービスのいいスーパーが
空いているって意味じゃ
ないからな」
ってッ
その注釈がひと言多いッ!
「最近
変な時間に寝てたのは
それで、だったんだ?」
「…まあね」
セイが
持っていたタオルを
植え込みに投げ捨てる。
「タオルなら
もっとセンスのいいヤツ
いくらでも買ってやるよ」
そ〜ゆ〜問題では
ありませんッッ!
「預かりモノの
タオルなんだからッ」
植え込みの中
足を踏み入れようとする
私の襟元を掴まえて
「怪しいな」
セイのきれいな顔が
私の目の前に迫ってきた。
「……」
ヘビに睨まれたカエル状態。
「……」
「……」
そのおおきな
黒曜石のような瞳に
見つめられているだけで
次から次へと嫌な汗が
噴き出してくる。
「…何か俺に
隠し事をしているな」
「……」
玉のように額から
ころころと零れ落ちる汗は
誤魔化しようもなく…。
なのに
「まあいい。
話はまた
改めて聴くことにしよう」
「え」
セイは
私の襟元を掴んだまま
手を挙げて
タイミングよく走ってきた
タクシーを停めた。