これはやっぱり
セイに相談すべきだよね。


とはいえ

気になるあの女性の
素性とカンケイを
問い質すコトなく

セイに
アタマを下げるのも…。


ケータイを手に
セイに電話をするのを
躊躇っている私になんか

最初から
期待などしていない、と
言わんばかりに

「はあ…あ」

シンスケがちいさく
ため息をつく。


「…こんなアタマ。

学校でみんなの
いい笑いモノだよなあ」


シンスケの口から
出てきたコトバは

シンスケらしからぬ
ネガティブさ。


タクシーの窓ガラスに
オデコをつけて

自嘲するシンスケの姿が

フロントミラーに
映っていた。


「…そんなコトないと
思うッ!

外国の俳優さんみたいで
結構、シブイよッ」


「……」


「ほらッ!

シンスケも
少林寺拳法とかの台湾映画
好きじゃない!?」


「……」


「それにッ

もしかしたら
パンクブームだって
来るかも知れないしッ!

結構、その髪型だって
流行の先取り
だったりしてッ」


「……」

「……」
「……」


ああッ。

口を開けば開く程

傷口を開いているような
気がします。


「……」
「……」


気がつけば
私はまたシンスケを
黙らせてしまっていて。


…困ったな。

もうすぐ
ウチに着いちゃうよ。


こんな状態のシンスケを

はたして
ひとりで家に帰しても
いいモノなのか。


「…セイは
坊主頭の俺を見て

何て言うかな」


え。


「やっぱり
幻滅しちゃうよな」