『トーコ?』

「…あ、何でもないッ」


心配症のママ達がいる前で

あんな怪しい街のウワサを
切り出すワケには
いかないよね。


『…ま、いいや。

トーコが無事
家に戻っているんなら…』


じゃあな、って
セイが電話を切ろうとした

その瞬間!

「あ、ちょっと待って!」

ママが私から
受話器を奪い取る。


「もしもしッ、セイッ?
あのねッ。

帰ってくるときに
コンビニ寄って
便秘薬買ってきてくれる?」


え。


「そうそう!

“ドサッと出る”って
オモテにでっかく
書いてあるヤツねッ」

ママが
とんでもないコトを
セイに頼んでるッ。


「ママッ」

アナタはあのセイに
どんな顔して、そんなモノを
買って来い、とッ!?


「助かったわ。

お腹が張ってきて
オナラが止まらなくなって
きちゃってたから」

電話を切ったママは

まるで出すモノを
出し終えたかのような

さっぱりと
晴れやかな顔をしていた。


「……」

…恐るべし
ミセス・マユミッ。