シンスケは車両の端っこで
顔を隠すようにして
つり革につかまっていて

満員電車の中

いい具合に
その姿が隠れている。


そりゃあ。

いくら逃げ回ったトコロで

いつかは
ナンノにも知られてしまう
ワケなのだが。


できれば

その瞬間に立ち会うのだけは
避けたい私で。


「……」

残りひと駅。

ここは何とか平穏に
やり過ごしたかった。


のに!!!!


『ツルッ、ツルッ、の
ピッカ、ピッカ〜♪』

明るいノリの
ケータイの着うたが

突然、満員の車両に
響き渡ってッ!!!


『何よりも
輝いてます〜♪

ピッピカリンリン♪』


…そのあまりにも
タイムリー過ぎる
童謡の歌詞に

シンスケがその顔を上げ
反応しているッ。


『今日もトイレを
磨きます〜♪

お掃除大好き〜
ママッ、ママ、ママ♪』


そんなシンスケと

思わず目が合ってッ。


「…ごっくんこッ」