「いくらセイくんが
年下で頼りないからって
シンスケくんに
ちょっかい出すなんて!」
「ちょっかいだなんて…
あは、あはは」
「それッ!
どういう意味かしらッ!
シンスケくんは
最初から
自分のモノだとでもッ!」
「そうじゃなくて!」
どうして
こんな話の展開に
なるんだかッ。
「私とシンスケは
単なる幼なじみで…!」
「私なんかより
ずっと前から
仲良しだったんだ、って
トーコは
言いたいんだッ!?」
ナンノちゃんの目が恐い。
「あうあうあ…」
ナンノちゃんといい
テツオさんといい
恋する乙女は
思い込みが激しすぎです。
「そんな
すがるような目で
私を見てもダメよッ!
シンスケくんは
絶ッッッ対に
譲らないんだからねッ!」
ナンノちゃんは
そうタンカを切ると
私に背中を向け
「ふん!」
私をその場に残したまま
学校に向かって
歩き出した。
「……」
ヒトのいいシンスケを
利用して
上手くやりすごそうとした
バチが
あたってしまったのか。
「はあああああ」
こんなややこしいコトに
なるくらいなら
最初から
セイに事情を全てを話して
ネチネチと
甚振られていた方が
まだ
マシだったかもしれない。
「…何で
こうなっちゃうんだろう」
学校へ向かう足も重い。