違うと否定したら

もっと真相に
ツッコンできそうな
気がしますけど。


視線を送った先で

「……」
「……」

シンスケと思わず
目が合った。


「…何よッ。

ふたりで意味ありげに
見つめ合ったりしてッ」


「いや、あのねッ」

「…俺、電話掛けてくる」


え!?

私をナンノと
ふたりきりにして

ひとり
駅に引き戻ろうとするなんて
アリなんですかッ!?


「ちょっとシンスケ!」

シンスケを追い掛け
その腕を取るッ。


「…セイに
相談しようと思ってさ」


はい?


「この包帯のアイデアも
セイの発案だし」


…って。


「……」
「……」


「…まさか」

アナタは今朝の一件を
セイに話してしまった、と?


「…ごっくんこッ」


「セイはこういうときも
頼りになるヤツだよな」


なんてッ

そんなハニカミ
されちゃってもッ!!!


「…あああああ」

セイに全てを
知られてしまったなんて

この先の展開を
想像しただけで

目の前が真っ暗になる。


「ふたりで何をコソコソ
やってるのかしらッ」


私達を追い掛けてきた
ナンノちゃんが

シンスケの目の前に
シンスケのケータイ電話を
差し出した。


「…このケータイ!

どうしたの?」


シンスケの顔色が変わるのも
当然で。


「あのッ、それねッ!!!」

「トーコのコートの
ポケットに入ってたの!」


早口言葉のような
セリフを口にしながら

ナンノちゃんが
私とシンスケの間に
割り入ってくる。


「…トーコの
ポケットの中に?」

シンスケが
ナンノからケータイを
奪い取るようにして

ケータイを確認した。


「あのッ、私ッ
ホントに
身に覚えがなくてッ」


「…何で
俺のケータイのロックが
外されてるんだ?」


「え」


「…暗証番号
誰にも教えたコトないのに」


季節外れのウグイスが

私達に過酷なゲームの
スタートを告げていた。





月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ

レクイエム#010

≪〜完〜≫


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