「…フンッ!

無駄な抵抗は
やめておくんだな!」


セイが余裕然と
私を見下ろしていてッ

「……」

…悔しいですッ。


「…お前、今朝
俺に遇ったときは

ひとりだったよな?」


「……」


「あ、違うな。

黒いコックコート着たヤツと
一緒だったな!」


なんて嫌味な言い回しッ


「もういいでしょ!
いい加減、ケータイ
返しなさいよねッ!」


セイが弄り続けている
ケータイに

手を伸ばそうとした
私のお尻を


「ほら、トーコ!
掃除機掛けるんだから

そんなトコロに
転がってられちゃ邪魔よ!」


ママが掃除機で突き上げた。


「…私のケータイ返してよ」


「そんな恨めしそうな顔
したってダメ。

全部
しゃべって貰うからな」


「……」

ガーガーとうるさい
掃除機の音に紛れて

このオトコは
さりげなく
私に脅しを掛けてくるッ。


「……」


いや、待てよ。


ここはいっそのコト

今回の一件を
洗いざらい正直に告白して

セイに事件の解決を
丸投げしてしまうのが
得策なのか…?


「…怒らない?」


「怒られるようなコトを
したって
自覚があるんだ?」


ケータイを弄る手を止めて
セイが私を凝視した。