「……」

私の肩の上に自分のアゴを
ちょこんと乗せて

セイがケータイに
耳を澄ませている。


セイの次の指令を
待っていると

その沈黙を怪しんだのか

『…あのさ。
セイは今、傍にいるのかな』

「えッッ！？」

シンスケの口から出た
思わぬセリフに

心臓が
飛び出しそうになった。


「…あは？」

『いや、そのう。

セイのケータイにも
変なメールが
来てるんじゃないかと
思ったんだけど』


「あ、ああ！
そ〜ゆ〜コトね！」


…びっくりした〜あ。

セイが傍で聴いてるの
気配を感じたのかと
思っちゃったよッ。


「あはッ。

セイなら気にしなくても
大丈夫だからッ」

私のひと言に

勝手に話を進めるな、と
言わんばかりに

「！！」

セイが私の眉毛を
引っ張ったッ。


『もし、セイに
あんなの見られてたら
俺、舌噛んで死ぬよ…』

「あんなの、って…？」

『……』

シンスケが電話の向こうで
絶句していて。


「あのさッ、シンスケッ！

シンスケの不注意で
メールアドレスが
漏えいしたくらいで

セイはシンスケのコト
責めたりしッ！

何も気に病むようなコト
ないんだから！」