「おい」

勝手に話を進めるな、と

ケータイを
取り上げようとした
セイのカラダを

私はグイン、と押し退ける。


『だけどさ。
やっぱり気持ち悪いし

セイに何かあって
後悔するのも悔しいしさ。

俺、ワンオーに
相談してみようと
思ってるんだ』


「え」

シンスケの口から
思わぬ名前が出てきて

「……」

思わずセイと目が合ったッ。


『ほらッ、俺のコト
保護してくれたとき

何かあったら
相談して、って
ワンオーのヒトに
名刺、貰ってたんだよね』


「ワンオーに保護…?」

セイのつぶやきに

「……」

私の額から
脂汗がジワジワと…。


『トーコと一緒に
ワンオーに囲まれたときは

正直言って
俺も印象悪かったけどさあ。

あれってさあ
トーコが女医さんと…』

ピ。


「…あれ。
どうしたんだろうねッ。
切れちゃったよ。

ケータイの調子
最近、悪いからなあ」

あはははは、と
笑ゴマする私から

セイが
ケータイを奪い取るッ!


「あのッ!

調子が悪いのは
シンスケのケータイでッ!」


「…今朝、お前が持っていた
あの趣味の悪いタオル

テツオさんのだったんだな」


「…あは?」