「ああ、キリエさん、ね。
何だ。お前
あのとき彼女がいたの
気づいていたのか」
「え」
「あの公園の傍に
キリエさん家があってね。
ほら、彼女
犬を連れてただろう?」
…そこまでは
見ていなかったけれど。
「…キリエさんって」
保健室の先生。
セイにとっては
まさに恩のあるヒトで
おそらく
パパやママより年上の
そんな女性に
嫉妬を覚えるのは
おかしいのかも
しれないけれど…。
「犯人からの
メールアドレスの
“kyrie”の文字が
あったから
セイは迷惑メールなんか
開いてみたのかな?」
なんて。
勘ぐり始めたら
止まらない。
「セイは、どうして
先生のコトを
“キリエさん”って
呼んでるの?」
「何だよ?」
「だって…!」
ねずみ〜らんどの
先生のコトだって
“タカヒロさん”なんて
呼ばないよね。
「なんだか
プライベートな知りあい
みたいだな〜、って!」