「私ってば、テツオさん達に
からかわれたのかなッ」

あっはっは。


「トーコはホント
騙されやすいから」

「普通はすぐに
気づきそうなモノなんだが」

夫婦して溜息をつきながら
わが子を不憫な目で
見ないでくださいッ。


「…お似合いのふたりだと
思ったんだけどなあ」

パパは残念そうに
苦笑していますけどッ。


いろんな意味で

確かにあのふたりは
似合いではありますが

ふたりがイチャつくトコロは
想像したくはありません。


「…はふはふはッ」

無言で
あつあつの唐揚げを
頬張りながら

私はテーブルの上の
チャーシューまんに
目をやった。


「……」

2個って数は

きっとテツオさんと
パパの分だったんだろう。


薄くなったアタマ。

メタボが疑われる腹まわり。


まさか既婚者の自分に

高嶺の花のような女性から
興味を持たれるなんて

あり得るハズもないコトで。


一緒に食べましょう、って

テツオさんに
誘われてたのに

なまじ差し入れが
ママの大好きな
チャーシューまんだったから

パパってば気づかずに

家内が喜びます、って

チャーシューまんの袋だけ
受け取っちゃったんじゃ
ないんだろうか…。


なのに。