「シンスケくんが何て?」
パパが興味深げに
食いついてきたから
「何でもないけど
ちょっと出掛けてくるッ」
私はケータイを閉じ
自分の部屋に
コートを取りに立った。
「おいおい。
こんな時間に
どこに行くんだ?」
パパが玄関で靴を履く私に
声を掛けてくる。
「シンスケが一緒だから
大丈夫ッ」
「だから
心配なんじゃないか」
え。
「ほら。
今朝、遇ったときも
何かシンスケくん
思いつめた顔してたから」
「それは…」
「もしかして
お前に告白しようとか
考えてるんじゃないのか?」
「はいッ!?」
パパってばッ
何を心配しているんだかッ!
「あら、まあ!
そうなの!?」
ママが嬉々としながら
私とパパの会話に
入ってきてッ。
「シンスケくんには
可哀そうだけど
変な期待を持たせずに
ハッキリ断った方がいいと
ママは思うわ」
「…行ってきますッ」
頑張ってこいよ、と
言わんばかりに
パパとママが玄関から
エレベーターを待つ私の姿を
いつまでも見守っていた…。