「どうして
黙ってるんだ?」

「……」

「まさか、もう…」


シンスケの顔が
見る見る紅潮していって


「もおおおおおッ!
書けばいいんでしょッ!」


私は調書に連絡先を書き

「はいッ!」

私のヒザ元に座っていた
おに〜さんに突き返す!


「…キミ。字、下手だね」


ワンオーのおに〜さんは
どこまでも失礼で。


「車が揺れてるからですッ」

「なら、そう言えば
車を止めるのに」

ってッ!

なんか
イチイチ気に障りますッ。


持っていた扇子を
片手でパチパチと
鳴らしながら

おに〜さんが
私の書いた連絡先の横に
何やら絵を描き出した。


けどッ!

「私の眉毛ッ
そこまで濃くも太くも
ありませんからッ」

「あ、キミ
自分の顔を書かれてるって
わかったんだ?」

むおおおおおおおッ。

おに〜さんの
勝ち誇った顔が
ムカつきますッ!


「だってキミ
写真撮らせて、と
お願いしても
どうせゴネるんだろう?」


「どうして私の写真が
要るんですか!?」


「聴き込みをするときに
使うんだ」


「じゃあ
シンスケのはッ!?」

当然、似顔絵なり
写真なりが…。


「シンスケくんは
被害者だから

聴き込みのときに
写真や似顔絵を使って

ウワサになったら
可哀そうだろう?」


なんてッ!

…私は可哀そうでは
ないんでしょうかッ。