「親が病院に
迎えに来てくれるのを待って
その足で
親切なヒトの家に
お礼に寄って
病院から家に帰ったら
留守電に
お前ん家のオヤジさんから
セイを知らないか、って
メッセージが入っててさ」
「え?」
「慌てて
お前ん家に電話したら
セイは、もうちゃんと
家に帰ってる、って
言うじゃないか」
「……」
…パパやママの前では
優等生なセイが
学校から
帰ってこない、って
心配させたのは
後にも先にも
セイが背中に
火傷を負って帰ってきた
あの日だけのハズで。
「それって
もしかして
私の誕生日のコトじゃ
なかった!?」
「トーコの誕生日って
秋だっけ?」
「……」
「長袖の白いカットソーを
セイが着ていたのは
覚えてるけど」
…間違いない。
擦り傷だらけの顔。
血がベトつく
セイのちいさな背中。
今でもリアルに
甦ってくるくらい
衝撃的だった
あの日のセイの姿。
「翌日さあ。
セイに会ったから
この車のコト、訊いたらさ。
面白い車だったから
無理言って
乗せて貰ったんだ、って
自慢されちゃって」