レクイエム#018
「当時のメンバーねえ」
ワゴン車の床で
私の足元に
胡坐をかいて座ってる
ワンオーのおに〜さんが
その先を勿体ぶる。
「いない、とか?」
「いても
紹介はできないかなあ」
「え?」
「過去の事件や
個人についての質問には
一切、応じられないの」
運転席の
ワンオーのおね〜さんの
補足説明に
「いかなる事情でも
個人情報は固く守られる」
おに〜さんが
シンスケの調書を
ボールペンで叩いてみせた。
「……」
キミ達の情報も
そうやって
守られているんだ、って
言いたいんだろうけれど。
なんだかなあ。
個人情報は
固く守られている、なんて
言いながら
ワンオーが
関係者の写真を見せて
情報を集めるのは
アリなんて
何が
基準になっているのか
私にはわかりませんッ。
「だけど
ワンオーのメンバーなら
いつでも自由に
閲覧できるんですよね?」
シンスケの質問にも
「それは…!
過去の事例を勉強するコトは
新たな犯罪を
防ぐコトにもなるし!
だなッ!」
説得力のないお返事が
返ってくるッ。
「ワンオーのメンバーに
なるには
特別な勉強をして
免許とか取るんですか?」
シンスケの疑問は
もっともだった。