恐るべしタドコロさんッ!
もうママに
告げ口しちゃっている
なんてッ
どれだけ
ヒマなんですかッ!!!
『おいッ、トーコッ!
聴いてるのかッ!?』
「……」
『電話の向こうで
あの父さんまでもが
シンスケさんが
思いつめた様子で
お前に告白、とか
ワケのわからないコト
言い出してるし!』
「…あの。
別に
心配されるようなコトは…」
『お前ッ!
また何か俺に隠れて
何かバカなコトに
首突っ込んで…』
…ピ。
「……」
セイの
あまりのご炎上ぶりに
この指がッ
この指が勝手に
電話を切ってしまっていた。
「いいのか?
今のセイからの電話じゃ
なかったのか?」
シンスケが
ケータイを握りしめている
私の手元を
不安そうに
見つめているッ。
…このオトコッ。
何故セイからの電話だと
わかったのか。
恋するオトコの第六勘ッ
侮れないッ。
「…急ぎの電話じゃ
なかったからッ」
シンスケを目の前にして
この状況を
セイに何をどう説明しろと
ゆ〜んだか。
「セイには何て言って
家を出てきたんだ?
まさか俺のコトとか
言ってないよな?」
ニット帽を
深く被り直しながら
私に向けてくる
シンスケの本気の目が
怖かった。