「まあ、深夜の無言電話とか

オンナの
すすり泣く声だけが
聞えてくるとか」

え…。

「お経のテープなんてのも
あったらしいわよ」

ワンオーのおね〜さんが

恐ろしい事実を
口にしていてッッ。


「……」

顔から血の気が引いた
シンスケと

思わず目が合ってしまった。


「電話だけじゃなく
メールとか。

相手が
無差別な愉快犯だけに

そりゃあもう
性質が悪言ったら!」


おそらく
シンスケのアタマの中にも

あの落ち武者画像が
甦っているに違いなくて…。


「あはは!

こんなの、たまたま、だよ。

シンスケのケースが
今までのケースと同じとは
限らないじゃない?」


だけど。

私の精一杯のフォローを
あざ笑うかのように

私の手の中で
ケータイが再び鳴り始め…。

「……」

さっきみたいに
ワンオーのおに〜さんが

私からケータイ電話を
取り上げてくれるのを
期待した。

のに。


おに〜さんってば
我関せずと言わんばかりに

自分の軍靴の汚れを

私に貸してくれていた
あの銀行のタオルで
拭いていてッ。


これは
さっきの仕返しですかッ。

なんて了見の狭い
オトコなのかッ!


「……」

鳴り続けるケータイを
シンスケが
見つめている。


「ほ、ほらッ
まだ深夜じゃないしッ

きっとセイからだよッ」


シンスケに笑い掛けながら
電源を切ろうとした私から

「!」

シンスケが
ケータイを取り上げ

「……」

電話に出た。





月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ

レクイエム#018

≪〜完〜≫


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