「泣き声のときは
わからなかったけど

もしかして今の

今朝の
ダブルライセンサーの
女医さんじゃないのか?」

シンスケが
ニット帽に手をやりながら

私の顔を
覗き込んでくる。


「……」

不安の色を湛えた
そのまっすぐな瞳ッ。

「スミマセンッ
また後で掛け直しますッ」

私は強引に電話を切った。


「…トーコ、お前
おかしいぞ」

「えッ」

「お前
俺に何か隠してないか?」

…シンスケがいつになく
鋭いぞッ。


「今朝だってさ。

急に朝連に付き合わされたかと
思ったら

土地勘のない
妙なコース走らされてさ」


「あはッ。
そうだったねッ」

いきなり核心に迫られて
思わず顔が引きつった。


「公園の時計の写真
撮ってたりしてたよな?

朝練っていいながら
行動が不自然だったし」

「それはッ」


「…ケータイ
ちょっと見せてくれる?」

「あッ」