いつもなら
私が一方的に
電話を切ろうモノなら
『俺の電話を切るなんて
いい度胸だな!』
私が根負けするまで
あらゆる手を使って
執拗なまでに
私と連絡を
つけようとするのに。
こういうときに限って
セイからの電話が
ないなんてッ。
ああッ。
嫌な予感がするッ。
私が家に帰ったら
スペシャルなお仕置きが
待っているとか?
ナワ、ムチ、ローソク。
氷、ワサビ、カラシッ。
海賊の恰好をしたセイが
私のアタマの中で
ムチを片手に
高らかに笑ってるッ。
「……」
どおおおしようッ。
ウチに帰るのが恐すぎだ。
…ここはやっぱり
パパに迎えにきて
貰うしかないッ。
「スミマセンッ!
家族が心配してるかと
思うので
家に電話させてください」
私が
ワンオーのおに〜さんから
自分のケータイを
奪い取ろうとすると
「そんなコト言って
ドサクサに紛れて
操作ミスしたフリして
ヤバいメールとか
画像とか
削除するつもりなんだ?」
おに〜さんが
私の手をボールペンで
払い除けたッ。
「私がそんな狡猾な人間に
見えますかッ」
「日本語が苦手な
おバカだからといって
悪いコトを考えつかないとは
限らない。
幼児でもズルはする」
さんざんヒトを
おバカ扱いして置いて
そんな理屈って
アリなんでしょうかッ。