私が車のドアに
手を掛けた瞬間ッ

「えッ、うそおおお!
もう終わり!?」

ワンオーのおね〜さんの
ため息交じりの訴えに

「……」

またしても
チャンスを逃がした
自分を知るッ。


舞台の方に顔を向けると

演武者の姿を
浮かび上がらせていた
華やかなライトが
消えていて。


薄暗い公園の街灯の下

あちこちで
ブーイングの声が
聞こえていた。


「…あああああ。

セイ。
凄かったなあああああ…」


余韻覚めやらぬシンスケが

銀行のタオルを
乙女のように握り締めッ。


「お前もそう思うだろ?」

まともに見ていなかった私に
同意を求めてくるッ。


「え、あ、あははははは?」

笑って誤魔化す私の横で


我に返った
ワンオーのおね〜さんが

騒ぎの元凶となっていた
お仲間に
ようやく気づいたらしく


「あ、やだ、何ッ!?

何であのヒト
揉めてるの!?」


慌てて
車から飛び出していった。