「あ、渋滞していた車
動き出したわ」

空気だった
運転席のおね〜さんが

古いワゴン車のアクセルを
急に踏み込んで

「おわッ」

油断していた
後部座席の3人のカラダが
おおきく揺れる。


「あれ?、あれ、あれれ?」

おね〜さんが
何度も車のエンジンを
掛け直していて…。

「……」

後部座席が静まり返った。


「さっき
ぶつけられたときに

どっかイカれたんじゃ
ないのかッ!?」

おに〜さんが車の窓を開け
後ろの車を睨みつける。


加害車は
スムーズに流れ出した
隣りの車線に逃げ込んで

「あんのッ野郎!」

…被害車を
置き去りにしたッ。


「覚えてろ!

後でたんまり修理代
請求してやるからな!」

走り去る車の後ろ姿に
怒声を浴びせる
おに〜さんの足元に
落ちていた
加害者の名刺を

シンスケが拾いあげ

「…この名刺の住所
東京ですけど

今の車、名古屋ナンバー
でしたよね?」

まさかまさかのご注進ッ!