レクイエム#023
「…トーコ、知り合いか?」
シンスケが
アジアンビューティーに
警戒しながら
そっと私に耳打ちした。
「知り合い…」
ってゆ〜か。
お互い名前も
知らないんだけど。
「もしかして、彼氏?」
私をからかうように
アジアンビューティーが
悪戯っぽく笑ってる。
「まさか!」
私の声をかき消すように
シンスケがおおきな声で
力強く否定してッ。
…ちょっと
気分悪いですッ。
「…シンスケは幼なじみで
高校の部活が
ほぼ同じなんです」
「トーコ、お前
“ほぼ”って表現は
おかしいぞ」
「……」
シンスケに悪気がないのは
わかってるッ。
わかってるけどッ!
「だって、シンスケは
男子体操部で
私は女子新体操部だもんッ」
「だったら
最初からそう説明すれば
いいんだよ」
今、この状況下で
そんな細かい注釈が
必要なのかッ。
「普段から
気をつけてないと
作文試験でミスするぞ」
「…シンスケってば
セイみたいッ」
「え」
私のイヤミに
「へへ、そうかな。
いやあ、ははは」
シンスケが喜んでいた…。