「ああ、さっきまで
新しいメニューの試作品
焼いてたから」
私の指摘に
アジアンビューティーが
自分の袖口を嗅ぎながら
少年みたいに笑ってて。
「……」
ゴツめのペンダント。
手首のデカい時計に
皮のハード系ブレス。
身につけているモノは
これでもかと言うくらい
オトコっぽいアイテム
ばかり。
なのに。
何故か異性をカンジさせない
不思議な色香は
何なのだろう。
つけヒゲがなければ
オンナノコでも充分
通用しそうだ。
…でも。
もしかしたら
そんな自分の容姿に
オトコとして
コンプレックスとか
持っちゃってるヒトなのかも
しれないなあ。
「え、っと
さっきのオトコノコ
シンスケくん?、だっけ?」
「あ、はいッ」
「ちょっと遅いから
様子見てきてくれるかな」
アジアンビューティーが
親指を後ろに向けて
「…別に、いいですけれど」
そのイチイチ絵になる
麗しい立ち姿。
テツオさんが夢中になるのも
わかる気がした。