私がふたつ返事で
運転席に向かうと

シンスケが車の中を
覗き込んでいて。


「…どったの?」

「今、後部座席の段ボール箱
ひっくり返して
探してくれてるトコ」

シンスケが
車の窓にヒジを掛けたまま
振り向きもせず
答えてる。

「……」

その背中から漂う
シンスケの苛立ちオーラに

嫌な予感ッ。


「段ボール箱って…」

軍手だとか、ロープだとか

あの邪魔モノ不用品の
山の中を?

「なんかさ。
車の装備品リストには

ちゃんとスリングベルトが
記載されてる
らしいんだけどさ…」

「あったわよ!
これでしょ!」

シンスケのコトバを
遮ぎるように

黄色のゴムチューブが
勢いよく差し出されッ。

「こんなの
乗っけてたなんて

きっとワンオーの
他のメンバーだって
誰も知らないわよ〜」

「……」

探し疲れモードの
ワンオーのおね〜さんから

シンスケは黙って
スリングベルトとやらを
受け取った。