ひっきりなしに流れる
ヘッドライト。

私とシンスケが
ワゴン車を押しているのを
たくさんのドライバーが
見ているだろうに

声を掛けてくれたのは
あのアジアンビューティー
だけで…。


車から再び降りてきた
アジアンビューティーは

スリングベルトで
2台の車を固定し終わると


「取りあえず
ワンオーの本部の車庫まで
引っ張ってくけど。

あっちの車の中が
散らかってるって
いうのなら

ふたりは
僕の車の方に乗る?」

私達に声を掛けてきた。


「いいんですか!?」

さっきまで
死人のような顔をしていた
シンスケの顔に

パッと生気が甦り

「ほら、トーコ」

私の背中を押して

ちゃっかりと
車の後部座席に
乗り込んじゃってます
けれど。


「…知らないヒトの車に
簡単に乗っちゃって
大丈夫なの?」