レクイエム#024
シンスケが手にしていた
アジアンビューティーの
モスグリーンの名刺。
「Bard…?」
「そっちの名前の方が
通りがいいんでね」
アジアンビューティー。
通称、バードさんが
繋いだ後ろの車両を
気に掛けながら
車を発進させる。
「住所が公園になってるし
メアドはともかく
ケータイや電話番号も
書いてない…」
シンスケの眉間に
シワが寄るのも
もっとも、で。
「ははは。
名刺に書いてある時間帯に
僕を訪ねてきてくれたら
ちゃんと会えるし」
「…ふざけてるんですか?」
シンスケが苛立った。
「あのねッ、シンスケ。
バードさんは
移動販売車で
美味しい中華まんとか
売っててねッ
そこに書いてあるの
営業場所と時間で!
けっして
公園で遊んでるから
会いに来てね、の意味じゃ
ないからッ」
私のフォローに
「…公園で遊んでる」
バードさんが運転席で
大笑いする。