「あの移動販売車は

持ち主が
使ってない時間帯を
シェアさせて貰ってて

掛かるのは数時間の
レンタル料金だけ。

チャーシューまん
10個も売れば
支払える額だし、ね」


「……」


「家借りるにしろ
駐車場契約するにしろ

やれ銀行口座開けだ、とか
保証人立てろだ、とか

けっこう面倒なんだよね」


「……」

「縛られるのはゴメン。
身軽なのが一番だよ」


「……」

ヤワな見掛けと違って

その生き方は
けっこう逞しく図々しい。


助手席の足元に
見え隠れしてる
旅行バッグ。

必要最低限の生活用品。


このまま
夜逃げも出来そうだ。


「このあたりの飲食店の
定休日や空いてる時間帯の
調理場を借りて
場所も、やり繰りしてるし。

チャーシューまんの材料も
高級な店で出た
切れ端なんかを
安く譲って貰ってるから」


何にも持ってなくても
工夫次第で
どうにかなるモノだよ、って

バードさんは
自分のアタマを指さした。