レクイエム#025
「シンスケくん。
後でまとめて掃除するから
菓子クズなんて
気にしなくていいよ」
運転席から聞えてきた
バードさんの声に
ガンッ!
焦って顔を上げようとした
シンスケの頭頂部が
私のアゴを直撃するッ。
目から火花ッ!
「…あううう〜…」
「キミッ、大丈夫?」
後部座席で
のた打ち回る私を
心配して振り返った
バードさんッ。
「コイツなら
大丈夫ですから!」
シンスケが
私の両手首を掴み
ガッツポーズを
無理強いしたッ。
「…ット帽ッ
脱げ掛けてるッ」
「え?」
「シンスケのニット帽ッ!」
「!!!!!」
私の指摘に
初々しい坊主頭が
恥ずかしげに露出した
アタマに
シンスケが大慌てで
ニット帽を被せ
「……」
後部座席で
カラダをちいさくする。