「…大丈夫なら
いいけれど」


武士の情けッ。

シンスケの
イタイケな坊主頭を
見て見ぬフリをして

バードさんは
静かに運転を続けていた。


もおおおおおッ!
シンスケってばッ!

自分のアゴを押さえながら

私は無言でシンスケに
ヒジ打ちをお見舞いするッ。


前傾姿勢のシンスケが
横目で私を見上げてきてッ

「何よッ!」

「トーコ」

「え」

シンスケが
“見てみろ”と
口パクしながら

バードさんから
見えないように

私のジャケットの
ポケットを指さした。


「!」

私のポケットの中に
何か入ってるッ!


「……」

シンスケが
シートの隙間で見つけた
ソレを

私のポケットに
慌てて隠した、ってトコ
なんだろうけれどッ。


腰に当たるその感触は

この重さといい
この固さといい

ソレは、今朝の
登校時の嫌〜な事件を
私に思い出させた。


もしかして、これ

「…ータイ?」