まさか私達が
自分のケータイを
こっそり触っているとは
ツユ知らず
バードさんは
本当にいいヒトでッ。
「いえッ!
すんごく
美味しく戴いてますッ」
私は今度は菓子箱を
高々と持ち上げる。
「…なら、いいけれど」
バードさんは
後ろの車を気にしながら
慎重に運転を続けていた。
「…トーコ。お前って
めちゃ調子いいヤツだよな」
シンスケの冷ややかな視線が
痛いッ。
「だって」
小学生の頃のセイって
天使のように可愛かったから
通りすがりのヒトに
ケータイで写真とか
撮られたりしてるのも
珍しくなかったし。
「セイの写真なんて
誰が持ってても
不思議じゃないから」
「その辺に出回ってるような
ヤツならな!」
「え?」
シンスケが突然
声を荒げたモノだから
バードさんが
後部座席を振り返った。