レクイエム#026
俺しか持ってないハズ、って
「…あはッ」
そんな真顔で
迫られましてもッ。
「ねえ。キミ達ってさ…」
「はいッ!?」
バードさんに話掛けられ
私は運転席の方に
向き直る。
「もしかして
何かワケあり、なのかな?」
「は?」
「いや、いいんだよ。
話たくなければ、別に」
「……」
「……」
バードさんの
意味不明な気遣いに
思わずシンスケと
目が合った。
ワケあり、とは
私とシンスケのコトを
指しているであろうコトは
明白ではあったけれど。
「ワケあり…?」
とはッ?
「いや、ね。
キミ達の服に
血がついてるから、さ」
「あ」
シンスケの鼻血のシミ!
これをバードさんは
勘違いして…。
「ホントはさ。
ワンオーの車なんて
あんまり関わりたくは
なかったから
キミらを見掛けたときも
そのままスルーして
一旦は横を
走り去ったんだけど」
やっぱり何だか
放っては
おけなくてさ、と
ミラー越しに
バードさんが苦笑いする。