…嫌な空気ッ。
「あのッ。
ワンオーの本部って
あとどれくらいで
着きますか?」
とりあえずココは
話題を他に
逸らしてみたのに。
「…本線が混んでるから
近道したいトコロ
なんだけど
車を引っ張りながら
細い道に入っちゃうと
厄介だからね」
「あはは、ですよね!」
「……」
「…あはは、は」
「……」
「……」
「……」
…会話が続かないッ。
「あ、でも
怪我とかしていて
我慢してるのなら
病院でも知人宅でも
どこでも希望する場所で
降ろしてあげるけど」
「え?」
「ワンオーなら
このまま車ごと
引っ張ってくから
追い掛けて来られる
心配はいらないよ」
「……」
それは、今の私達にとって
ありがたい申し出では
あったけれど。
でも。
これって、なんだか…。
「…事情も知らないヒトに
そこまで信用されて
親切されると
かえって
気味が悪いんですけれど」
さすがの私も
シンスケのこの意見には
思わず頷きたくなった。