セイはあんな調子で
しばらく怒りは
解けそうになかったし。
…パパに電話して
ワンオーの本部まで
迎えに来て
貰うしかないよね。
「あの、私達…!」
「…昔さ」
「え?」
「やっぱり
キミ達みたいに
何かワケありそうだな、って
感じたのに
そのまま
見て見ぬフリして
通り過ぎて
ひどく後悔したコトが
あってさ…」
「……」
「ちょうどこんな風に
月のきれいな夜だったな」
見上げると
空には
まんまるお月さま。
冬の空は
天高くまで透き通り。
「気味の悪いお節介だと
思われても、さ。
後になって
眠れない夜が続くよりは
マシかな、って」
バードさんの声が
心許ない。
「……」
何だか
ここで降ろしてくださいとは
言いにくくなってしまった。