レクイエム#028


「ヤだな〜。

シンスケってば
何言ってんのかなッ」

私はポケットから
自分のケータイを取り出して

シンスケの眼前に
掲げて見せる。


「ほらッ!
私のケータイは
ここにあるしッ!

さっきだって
ワンオーのおに〜さんが
チェックしてたの

シンスケだって
知ってるじゃないッ!?」


「…イタズラ用に
もう1台持ってたのかも
しれないだろ」

なんてッ!
もう勘弁して欲しい。


「2台目のケータイなんて
持つ余裕があったら

ママやパパに
イチイチねだらなくても

駅前の極上ロールケーキ
毎日自分で
買い食いできるしッ」


お洋服にゲームソフト!

「欲しいモノなら
他にいっぱい
あるんだからッ!」


付き合いの長い
シンスケなら
わかってくれるよね?

わかるよね?


「そうなんだよな。

お前ってばホント
昔から強欲ってゆ〜か

ねだり上手だったもんな」


「…はい?」

「あの天使みたいなセイに
お願いされたら

どんな困難なコトでも
叶えてやりたくなるって
心理につけ込んで

ちいさい頃から
欲しいモノは
絶対に自分のモノに
してきたもんな」

シンスケが
唇を尖らせた。