「今は
お前と一緒に居たくない」


ウソだと言ってくださいッ。

お願いですから
冗談だ、とここは笑って…!

「……」
「……」

この重苦しい空気を察して

「…車降りてどうする気?」

バードさんが心配して
声を掛けてくる。


「この街は
深夜から早朝に掛けて
かなり物騒だから

油断して掛からない方が
いいかと思うけど」


バードさんのひと言に

シンスケはニット帽を
さらに深く引き下げ

身を強張らせた。


「……」
「……」

この街の怖さは

このシンスケ自身が
身を持って知っている。


「あのッ、私ッ!

家に連絡して
パパにタクシーで
急いで迎えに
来て貰うから!」

「……」

「もうちょっとだけ
我慢してッ」

「……」

私は一分の望みを託して
自分の家に電話を入れた。

のにッ!

こういうときに限って
電話に出てしまうのは
ママだったりするのは

何故なんだろうッ。