『パパなら
とっくに寝ちゃったわよ』

明日も朝早いから
起しちゃ可哀想、ってッ!

帰るべき手段のない私達は
可哀想では
ないんでしょうかッ。


私の悲痛な訴えをよそに

『用事を済ませたら
セイが迎えに行く、って
言ってたから

信じて待ってなさいな』

じゃあ、切るわね、と

ママが
話を終わらせようと
していますッ!!!


「ちょっと待ってッ!

セイが
迎えに来てくれる、って
それって
いつの時点の話かなッ!?」


『さあ、どうだったかしら』

「どうだったかしら、って」

そこが
大事なポイントですッ。


『あ〜!、あと5分で
K-POPの歌番組が
始まっちゃうから

切るわね!』

ってッ!

「もしもしッ、ママッ!?
ママッ、ママッッ!!」


『ツー、ツー、ツー…』

ボー然とする私の隣りで

「……」

シンスケが
ちいさく
溜息をついていてッ。


「…あははッ。

なんかねッ。
セイが迎えに来てくれる
みたいなんだよねッ」

「……」


「だから
ふたりでセイが来るのを
おとなしく待ってようよ。

ねッ?」


「…トーコ、お前ってさ

取りあえず
セイの名前でも出しておけば
納得して貰えるだろう、とか

思ってない?」