「…後ろのシンスケ達
大丈夫かな」
気にはなっても
やっぱり
私に振り向く勇気はない。
ちらり、と横目で
バードさんを確認すると
笑みひとつない
バードさんの横顔が
そこにあった。
なまじキレイな顔をして
目ヂカラがあるから
黙って無表情でいると
なんだかコワイな。
ワンオーのおに〜さんの
言動は
確かに横柄ではあったけど
それにしても…。
「右折が苦手で
乱暴な運転で申し訳ない」
ワンオーのおに〜さんが
怒鳴るタイミングを
制するように
バードさんが
謝罪の意を申し送ってる
けれど
そのコトバと表情の
この落差は何だろう。
「オトコのクセに
運転が下手とか
終わってるよな〜」
バードさんの謝罪を
真に受けた
ワンオーのおに〜さんが
上から目線で
鼻をフン、と鳴らしていた。
薄暗いマンション街。
ほとんどの家の窓が
中の様子が窺えないような
造りになっていて
ヒト気があるのか
ないのかさえ
わからない。
「この辺りが
自殺の名所、って
呼ばれ始めたのは
この先のマンションでの
飛び降り自殺が
原因だったんだよな〜」
ワンオーのおに〜さんが
後部座席に
ふんぞり返るようにして
意地悪く笑ってて。