車のヘッドライトだけが
明るく光る細道。
通行人が
視界の中に入ってきても
ドキッとしてしまいそうだ。
自殺の名所、なんて
聞かなくても
オカルトとしても
充分成立しそうな
演出効果抜群の佇まいで。
バードさんも
この細道に
不安を感じたのか
その慎重な徐行運転が
私に
いっそうのプレッシャーを
感じさせるッ。
なのに
「ほら、何だっけ?
有名なハンバーガー
チェーン店」
ワンオーのおに〜さんの口は
止まる気配はなく。
だけど。
「ボック☆!
そう、ボック☆バーガー!」
まさか
思いも掛けないヒトの口から
思いも掛けない名前を
こんなトコロで
耳にしてしまうなんて。
「ボック☆って…?」
クボ先輩、の…。
「あそこの
創業者一族の長男がさ
最上階の自宅フロアから
飛び降りたんだよね」