その事故で奪った
かけがえのない2つの命。
その罪の重さに耐えきれず
自らの命を絶った、とは
聞いてはいたけれど。
…こんなに身近な場所で
自殺していたなんて。
セイのご両親の事故のコトは
いろんな形で耳にしてきた。
だけど
いざ、こうして
自殺場所の雰囲気を
リアルに
見せつけられちゃうと…。
どこか想像するコトを
アタマの中で拒んでいた
そのシーンが
浮かんできては
私は必死で打ち消した。
なのに。
そんな私の動揺など
ツユ知らず
「あ、ほら!
そこのマンション!
うひゃ〜。
今だに
花、供えてるヤツなんて
いるんだ〜」
ワンオーのおに〜さんが
勢いよく
運転席と助手席の間から
左前方を指さして
「……」
堪らず
その先から目を逸らすと
左手を胸に
黙祷するバードさんの
横顔が
私の視界に入ってきた。