レクイエム#030


静かな車内に
ワンオーのおに〜さんの
怒号が響いてる。


「おい!
聞こえてるんだろう!?」

「……」

「無視してんじゃ
ねえよッ!」


車を停めろ、との
ワンオーのおに〜さんの
命令をスルーするように

バードさんは
アクセルペダルを
踏み込んだ。


「うお!?」

ワンオーのおに〜さんの
カラダが
おおきく前後に揺れて

「ッてめえ!」

おに〜さんの怒号に
ますます凄みが増してゆく。


「上り坂に入ったんで
このタイミングでの停車は
勘弁して貰えますか?

それに、ほら」

僕達の車の後ろに
後続車がいますから、との
バードさんの指摘に
後ろを振り向くと

同じく後ろを振り向いていた
ワンオーのおに〜さんの
背中越し

ワンオーのワゴン車を
後ろから照らすように
ヘッドライトが光っていた。