「二輪か、ありゃ」
ワンオーのワゴン車から
ちらちらと
バイクらしい影が見える。
確かに
一方通行の細い道では
あったけれど
バイクでなら
余裕で追い越せそうな
道幅なのに。
「自殺の名所、って
ゆ〜だけあって
やっぱり
度胸試しとか見学が
目的なのかな」
前の車を煽るコトなく
私達の車に合わせるように
のんびり走っている
その様子は
あんまり
愉快なモノじゃなかった。
「それに
この坂を抜けたら
ワンオーの本部は
すぐですよね?」
バードさんが
停車する意思があるコトを
示すと
「…お前
いい度胸してんのな」
ワンオーのおに〜さんの
重い軍靴が
運転席を蹴り上げる。
「いいさ。
お望みなら
本部の方でじっくりと
取り調べさせて
貰うとするよ」
「……」
「あの公園で
店を出してるなんて
ヤバイコト
いろいろ手伝わされて
いるんじゃねえの?」
それは含みのある物言いで。
まるでバードさんが
その筋のヒトと
繋がってるんだと
言わんばかりだった。