「あはッ」
滝のように噴出す額の汗ッ。
「トーコちゃん?」
そんな私の空気に気づいた
バードさんが
こっちを見ている。
「凄い汗だよ…」
「ヒザの上の毛布ッ
ちょっと暑くてッ」
あはははは、と
私はヒザの上の毛布を
抱きしめ
笑ゴマした。
「面白い子だ」
バードさんの華奢な腕が
こっちに伸びてきて
「あ」
その繊細な指が
私の額の汗を拭っていく。
私の顔が赤いのは
赤かったのは
けっして
バードさんの行為に
ときめいたワケじゃない。
なのに!
そんな私を天国から
突き落すかのように
ブロロロロ!
物凄い爆音とともに
ワンオーのワゴン車を
追い越して
私たちの乗った車に
二人乗りのバイクが
横づけする!
「きゃ」
油断していた私は
不意を突かれるように
運転席に身を倒した。