フルフェイスのメットに
隠された顔。
ドン!、と
車体が衝撃を受けた
その瞬間!
バシャア!
後部座席の窓ガラスが
粉々に砕け落ちる!
「トーコちゃん!
しっかり掴まっていて!」
バイクを押し返そうと
バードさんが
ハンドルを切ると
キュキキキキ!
タイヤの嫌な擦音が
耳を貫いた。
後ろのワゴン車の
車体の重さが
車の足枷となって
「くッ!」
思い通りに動かない車に
バードさんが舌打ちをする。
私のアタマの中に甦る
アタマを剃られた直後の
シンスケの画像。
「もしかして
これがウワサの通り魔…?」
私の背中に恐怖が走った。