「けほ」

クッションと座席に
挟まれて
身動きが取れず

息をするのが
やっとのこの状況。


これから何が起ころうと
しているのか。

まともな展開じゃ
ないであろうコトは
想像に難くなかったけれど

私の肩越しに
犯人の気配があって

心臓が口から飛び出そうだ。


なのに!

「お前、これ持ってろ」

なんて

硬くてずっしりと重いモノを
乗っ取り犯に押しつけられッ

「え」

このいかにも
ヤバそうなモノは
何なんですかああああ。


恐る恐る目を開けると

デカ弁くらいのおおきさの
これは

「…アタッシュケース?」

にしては

石焼ビビンパの器並みに
ずいぶんと重いけどッ。

まさに

「…鈍器ッ」