「……」
「顔をこっちに向けて
よおっく見せてみろよ!」
乗っ取り犯が
さらに身を乗り出し
バードさんの顔を
乱暴に掴もうとしたモノ
だからッ
「バードさんッ」
思わず
私は自分の座席のレバーに
手を伸ばし
ガシッ!
自分の座席を
後ろに押し出すと
「うおッ!?」
シートの勢いに
乗っ取り犯のカラダが
後部座席に投げ出された。
「トーコちゃん、感謝!」
乗っ取り犯から解放された
その隙に
バードさんは
自分のシートベルトを
手早く外すと
バン!
車のドアを開け
私を車の中に
置き去りにしたまま
ひとり暗闇の中
消えていく〜…。
「…あれ?」
バードさん?